目の前をカップルが自転車を二人乗りして通った。
隣りからギリッと歯を鳴らす音が聞こえた。
「くっそ…ここならいないと思ったのに…!!」
「…リア充はどこにでもいるだろ。」
飽きれながら、つっこんでおいた。
「田舎でじいばあばっかだろ!!リア充のいるところじゃねえ!!」
それを聞いて、少し意地わるい気持ちが湧く。
「ふうん…。じゃあ、俺らがいるところでもないなぁ…帰ろうかな。」
そう言うと、急にあわてだした。
「え、あ、う、えっ!?違う!!そういう意味じゃないから!!帰っちゃ、だ、だめ!!」
あわあわとした様子が可愛くて、もっともっといじめたくなる。
「だって俺らも立派なリア充でしょ?違うの?」
「そうだけど!!でも違う!けど、違うくなくて!!ああ、もう、ばか!!」
言いたいことはなんとなくわかる。
でもその、なんて言えばいいんだと少しむくれたようにしょげる顔が、愛しくてたまらないだけ。
意地悪もこれくらいにしといてやろうと、小さくため息をつく。
十分満足だ。
「ばーか、冗談だよ。」
かわいいねー、なんて頭を撫でてやる。
「もう、ばか。」
そう言って照れ隠しのようにうつむいた。
まったく…これだからやめられない。
end.
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