買い物に行く準備をするといって、部屋に入ったきり、季子が出てこない…。
「季子…?」
「ごめんね!!もう少しで終わるから!!」
そう言ってまもなく、部屋から出てきた。
「お待たせ!!ごめんね、遅くなって。」
と、申し訳なさそうな顔なのはいいんだけど…
「季子、あの、どうしたの?」
「男装してみた!!」
困惑する俺に、子供のように無邪気に顔をきらきらさせて言う。
どうやらこれで時間がかかっていたらしい。
「なんでまた…」
「してみたかったんだー!啓と一緒にいたらホモだよ!!ホモ!!」
きゃっきゃと嬉しそうにはしゃいでいる。
まったく、と小さくため息をついた。
「そんなかわいい姿人には見せられません、着替えなおしなさい。」
「えー…」
残念そうにしてる姿すらかわいい。
「ほら、早く着替えないと買い物する時間なくなっちゃうよ?早く着替えておいで。…それで、もっと時間あるときに、一緒に服選んでから男装で出かけよっか。」
そう言うと、一瞬きょとんとした後、嬉しそうに部屋に引き返していった。
なかなか面白そうだとわくわくしている俺を見透かされてしまったのかもしれない。
end.
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